WordPressサイトを公開すると、アクセスログにはさまざまなリクエストが記録されます。
その中には、一見すると「Google」や「Facebook」など、信頼できそうなアクセス元に見えるものもあります。
しかし実際には、それらがすべて本物とは限りません。
この記事では、実際のサーバーログをもとに、User-AgentやRefererを偽装したBotの挙動を解説します。
WordPressを公開すると、実際にどのようなアクセスが来るのかは、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶ WordPress公開直後にBotアクセス|favicon取得から分かるスキャンの特徴
User-Agent(ユーザーエージェント)とは
User-Agent(UA)とは、アクセスしてきたクライアント(ブラウザやBot)が自分の情報を名乗るための文字列です。
例えば以下のような情報が含まれます。
- OS(Windows / Mac / Linux)
- ブラウザ(Chrome / Safari など)
- バージョン情報
一見すると、どんな環境からアクセスしているかが分かる便利な情報ですが、この値は簡単に変更できます。
Referer(リファラー)とは何か
Refererとは、「どこから来たか」を示す情報です。
例えばGoogle検索からアクセスした場合、以下のような値が入ることがあります。
https://www.google.com/ただし現在はプライバシー保護のため、検索キーワードはほとんど送信されません。
また、RefererもUser-Agentと同様に自由に偽装できます。
BotがUAとRefererを偽装している実際のログ
以下は、実際に同一IPから数秒で行われたアクセスログです。
192.109.200.41 → /wp-login.php
Referer: https://www.facebook.com/
UA: Chrome (Windows)
192.109.200.41 → /wp-login.php
Referer: https://www.google.com/
UA: Safari (Mac)
192.109.200.41 → /wp-admin/
Referer: なし
UA: Chrome (Linux)WordPressでは、このようにログインページや管理画面を狙ったアクセスが日常的に発生します。
実際のスキャン内容については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ WordPressの「/wp-login.php」スキャンとは│アクセスログ分析
Botと判断できる不自然なアクセスの特徴
このログには、明らかに人間ではありえない挙動が含まれています。
OSとブラウザが短時間で変化
- Windows → Mac → Linux
- Chrome → Safari → Chrome
数秒の間に環境が変わることは通常ありえません。
Refererがコロコロ変わる
- リファラーなし
これも自然なユーザー行動ではありません。
アクセス先が不自然
すべて以下のURLに集中しています。
/wp-login.php/wp-admin/
これはWordPressサイトを探す典型的なスキャン行動です。
なぜBotは偽装するのか
BotがUser-AgentやRefererを偽装する理由は主に以下です。
- 単純なフィルタリング回避
- 人間のアクセスに見せかけるため
- セキュリティ検知を回避するため
ただし今回のように、挙動まで偽装できていないケースも多く見られます。
User-AgentやRefererだけで判断してはいけない理由
これらの情報は「自己申告」にすぎません。
- User-Agent → 自分で好きに名乗れる
- Referer → 自分で好きに付けられる
そのため、これらだけを見て「安全なアクセス」と判断するのは危険です。
Botを見分けるポイント|重要なのは挙動
ログ分析で重要なのは「何をしているか」です。
以下のような特徴があればBotの可能性が高くなります。
- 短時間で連続アクセス
- 同一IPで複数パターンのリクエスト
- WordPress特有のURLを狙う
- UAやRefererが頻繁に変わる
今回のログはこれらすべてに該当しています。
WordPressでできる最低限の対策
今回のようなスキャンは防ぐというより、前提として受け入れるものです。
その上で、以下の対策が有効です。
- ログインURLの変更
- WAFの有効化
- 不要なエンドポイントの制限
- 管理画面へのアクセス制限(必要に応じて)
今回のログでも、すべて403でブロックされており、適切に防御されています。
▶ WordPress初心者向けのセキュリティ対策はこちらで詳しく解説しています
まとめ|User-AgentやRefererは容易に偽装可能
User-AgentやRefererは、一見すると信頼できる情報に見えますが、どちらも簡単に偽装できます。
そのため、「どこから来たか」「どんなブラウザか」だけで判断するのは危険です。
見るべきなのは、どのURLに、どのタイミングでアクセスしているかといった実際の動きです。
ログを見るときは、表示されている情報ではなく、アクセスの流れやパターンに注目することが大切です。
アクセスログから分かるBotの挙動については、他の記事でも実例をもとに解説しています。
気になる方はあわせてご覧ください。
